
使いやすくて、本格派。ベルト屋が作るミニ財布。

東京台東区池之端に工房兼ショップを構えるレザーファクトリー『池之端銀革店(いけのはたぎんかわてん)』。
元々ベルトの制作をメインにOEMの仕事を中心に行っているファクトリーなので、革の扱いに長けており、特に革の縁「コバ」の磨きに関しては革の重なり合うさまが本当に美しいです。
形状も、一般的なお財布の枠にはまらない、浅草の職人が実際の使用感を踏まえて試行錯誤しながら製品化しているので痒いところに手が届くような使い勝手も素晴らしいです。
そんな『池之端銀革店』のメインブランド『Cramp(クランプ)』。

今回は発色鮮やかな「イタリアンシュリンクレザー」と馬具に使われる「UKブライドルレザー」の2種類の革の「ギャルソンスリムウォレット」をご紹介します。
男性の手のひらにすっぽり収まるコンパクトなサイズ感が、昨今のミニ財布の流れにジャストマッチ。
女性が使っても間違いなく使いやすいと思います。
コンパクトサイズは収納力ではもちろん長財布には負けるのですが、ここ数年一気に進んだキャッシュレスの流れを考えると、現金はいざというときの保険、という方も増えているのでやっぱりこのぐらいのサイズが今後、財布の主流になるのではないかと思います。
一番の特徴は前面のフラップを開けると「小銭」「お札」「カード」が一望できる構成。

手前、画像左側から、「カード」「お札」「小銭」と並びます。
お札を出しながら小銭入れを確認出来るので無駄な小銭がたまりません。

小銭は商品名「ギャルソンウォレット」の由来にもなっている広く開く小銭入れが特徴です。先ほど書いた通り、中身全てを一望できるのが売りですが小銭だけ出すときも、画像のようにスマートに出せます。
フラップの裏も革を当てて袋状になっているので、小銭をザザーっと手前に滑らせて確認することも出来ます。

お札部は1万円を入れてちょうど10mmほどゆとりがあり、数値だけ聞くともうちょっと広い方が良いのかな、と思うのですが、画像の通り、端をステッチでまとめずにくるんと丸めることで、お札が端に引っ掛からず驚くほどスムーズに出し入れ出来るんです。

カードは、細かくカード段を設けず、財布自体の厚みが出にくいようにする最近のスタイルで作られており、向かって右側にキャッシュカードやクレジットカードのような厚みのあるカードでだいたい6枚、左側に3枚程度収納可能です。革なので無理すればもっと入れることはできますが、革が伸びてしまうので、これぐらいが適正だと思います。
プラスチックカードで合計9枚程度なので、紙のポイントカードなどと組み合わせるともっと入りますので、ご自分の入れたいカード量と相談してください。
右側のポケットは下部に開けられた窓を使ってカードを下から押し上げることが出来るので、出し入れもしやすいです。

そしてこのカードポケット、財布の中でカードが痛まないようにカードの上部が革からはみ出さないように工夫されています。
こういった細かい工夫は毎日使う「財布」だからこそ嬉しいですね。






そして、使いやすい、便利なだけでなく、革製品としての完成度がとても高いことが持つ喜びを倍増させてくれます。
最初に触れたとおり、『池之端銀革店』はもともとベルト屋から始まっているので、コバの磨きのキレイは特筆すべきです。
浅草の熟練の職人が昔ながらの「本磨き」で仕上げているコバは、鉋(カンナ)で面取りし、ペーパーがけをして、水性の磨き剤で丹念に時間を掛けて磨いていきます。
顔料・ラッカーを使わないので経年での割れが生じにくく、革の重なり合う様がとにかく美しいです。
ステッチもピッチが揃い美しく、部分的に手縫いも採用しています。
現代的な使い勝手・デザインと昔ながらの日本の職人の高い技術の嬉しいハーモニー。
画像で取り上げている「イタリアンシュリンク」バージョンは全7色。
揉み加工によりナチュラルなシボ感と発色の良さ。使い込むことで鮮やかな色が大人渋色に育っていきます。
育ち方も千差万別、是非「あなた色」に育ててあげて欲しいです!
今回は「イタリアンシュリンク」中心にご紹介しましたが、世界3大レザーの1つと言われる「UKブライドルレザー」バージョンもとってもカッコ良いので合わせてチェックして欲しいです。
馬具にも使われるブライドルレザーは水濡れなどの悪条件下での使用を想定した堅牢な革。鞣しの行程で何度も蜜蝋を染み込ませて革の繊維まで浸透させており、耐水性を上げております。
自分も10年越しでブライドルレザーを使った名刺入れを使っていますが、全くへこたれて来ない丈夫さは、質実剛健で無骨なイギリスらしさ満点です。
イタリア革の瀟洒なスマートさとはまた異なるゴツゴツっとした魅力に溢れています。
こちらはフラップに真鍮製の隅金を取り付けており、この存在感がこの川の雰囲気にとても合っています。鋳造で制作されており、板物では出せない立体感が迫力です。
このジェンダーレスの時代、男女で分けるのは無粋かとは思いますが、カップルで無骨な「UKブライドル」、華やかな「イタリアンシュリンク」と革違いのお揃いで持つのもアリなのではないでしょうか。
もちろん色違いのお揃いでも素敵です。
他にも色々おススメのお財布ありますー。