
使いやすさで定評のあるNELDの長財布。
イタリア革を使った、長く使うほどに味わいが増す抜群の経年変化と、程よいプライスにお値段以上の機能性。
定番シリーズのどれを選んでいただいてもきっと満足いただけますが、今回は、コルネの人気色「ブルー」で、細かいところまでトコトン比較してみました。
とても長いページになりますが、是非最後まで読んで、自分にピッタリのお気に入りを見つけて欲しいです。
今回の特集にエントリーの4アイテムはこちら。
以下は簡単なシリーズの説明です。
『FINE(ファイン)』
NELD黎明期からのロングセラー。今回の4アイテムの中では最もシンプルですが、ツボを押さえた作りで、リピートのファンも多し。
『PUEBRO(プエブロ)』
個人的にイタリア革の味出しを最大限に楽しめる「プエブロレザー」を使用したカジュアル寄りなシリーズ。
『MINERO(ミネロ)』
2つのイタリア革のコンビネーションで違る経年変化を楽しめるシリーズ。革の切り替え部分のポケットにデザインの特徴があります。
『LATTE(ラテ)』
シボ感強めの革にワックス加工でややワイルドな質感が特徴。最初は「蝋」が浮いているので白っぽい表面ですが使い込むことで大きく変化します。
ルックス(革の質感、カラー、内装)
まずは革の質感と青の色味、内装の組み合わせなどを見ていきます。「革財布」を選ぶときに大事なファーストインプレッション「素材感」。全て「ブルー」で比べることで、シリーズの特徴が浮かび上がります。
※画像はスライドで外装と内装が切り替わります。
「FINE」の使用革はイタリア「annarita(アンナリータ)」のバッファローカーフ。色は「ロイヤルブルー」。少し紫がかったイギリス王室を想起させる高貴なカラー。サラッとしたタッチ感が特徴で、使い出しはマットですが、使い込むことでどんどん光沢が増し「つるん」とした質感に変化、色も深くなりミッドナイトブルーに。内装も基本的に外側と同じ革を使い部分的に明るいブラウンのマイクロスエードという人工の起毛素材を使い、NELDらしいユニセックスなデザイン仕上げています。
「PUEBRO」の使用革は革の表面を軽くバフィング(やすりがけ)した、イタリア「Badalassi Carlo(バダラッシィ・カルロ)」の「プエブロ」。最初は紙っぽいザラっとした感触ですが、表面の細かい傷から手の油がどんどん染み、手に吸い付く1枚の板のような質感に変化します。それに合わせて、色目もどんどん濃くなり、エイジングを最大限に楽しむことが出来ます。カラーは青と緑の中間のブルーグリーン。内装は同じくイタリアの「NUOVA GRENOBLE(ヌオヴァ・グレノブレ)」のフルタンニンのヌメ革を使用。ややナチュラルテイストの組み合わせになっています。
「MINERO」は上の「PUEBRO」でも使っている「プエブロ」と、同じ革にバフィング加工なしの「ミネルバボックス」、兄弟ともいえる2種類のイタリアンレザーを、コンビで使用。外装に取り付けられたポケットで切り替えをしていますが、ポケットのデザインもこのシリーズの個性になっています。色目を揃えた2つの革が繊細なグラデーションを描きながら経年変化していく様を楽しめます。カラーも「PUEBRO」と同じブルーグリーン。オイル感が深いので同じく手に吸い付くような質感に変化します。内装は革は「PUEBRO」と同じく「NUOVA GRENOBLE(ヌオヴァ・グレノブレ)」の物ですが、「黒」かと見まがうダークネイビーをセレクト。「PUEBRO」とは異なるシックなイメージに仕上げています。
「LATTE」には革の質感が他のシリーズと大きく異なるイタリア「puccini(プッチーニ)」のワックスレザーを採用。表面に白く浮かび上がっている「蝋」が独特の質感を表現しています。革自体の色は凛々しい「ネイビー」です。使い込むことで蝋がどんどん浸透して、色味が濃く変わり光沢も増します。表面の凹凸がややワイルドです。内装は「PUEBRO」と同じ革、「NUOVA GRENOBLE(ヌオヴァ・グレノブレ)」のフルタンニンレザー、着脱できる小銭部は外側と同じワックスレザーを使っています。テイストの異なる青のコントラストが美しいですね。
サイズと重さ
続いて、お財布のサイズと重さを比べてみます。

いずれもラウンドファスナー長財布ということで、全部同じかと思いきや、シリーズで微妙にサイズが異なります。着脱できる小銭部のギミックを搭載した「LATTE」が一番大きめですね。ここ数年、バッグが小さめの流れが続いているので、意外にこの微妙なサイズの違いは選ぶときの決め手になるかも知れません。
そして1枚の画像で見ると各モデルのブルーの色味の違いも伝わりやすいのではないでしょうか。

実際に使うときは小銭やカードなどの重さが加わるので、そこまで差は感じにくいかもしれませんが、毎日持ち歩くものだからこそ、重さも気になりますね。凝った仕様になるほど使う生地が増え、重量は増すので、この中では着脱できる小銭部を持つ「LATTE」が、一番重くなります。でも逆に持った時の手ごたえがしっかりある、少し重めの財布が好みの方もいるかも知れませんね。わずかの差ですが「PUEBRO」が最軽量です。
使い勝手(小銭入れ、お札入れ、カードポケット)
毎日使うお財布だから、やっぱり一番大事なのは使いやすさ。いよいよ機能面を見ていきます。
イタリア革を使ったお財布は数多くありますが、毎シーズン、少しずつ新しい要素を加えて、使い勝手をアップデートしていくのがNELD流です。ちなみにご紹介順は発表順でもあります。
小銭入れ
NELDのお財布は小銭の使い勝手にこだわったものが多いです。革や色などを変えて新作とするブランドが多い中で、NELDならではの進化し続ける小銭入れをご覧ください。年々変化していきますが、必ずしも「新しい=最適解」ではないところがポイント。「自分の使いやすさ」に合ったものを選ぶことが大事です。

ロングセラーを続ける「FINE」長財布。人気の秘訣はボックス型に大きく拡がる小銭入れ。ヨーロッパのカフェのウェイターが持つギャルソンウォレットに着想を得た小銭入れはコインを上から俯瞰できるので、探しやすくて取り出しやすい。無駄なコインが溜まりにくいのでお財布も軽くなります。小銭入れ内にレシートなどをちょっと挟んでおけるポケットを備えているのは「FINE」だけの特徴。更に、もう1つファスナーポケットを設けているので、落としたくない大事な領収書なども収納可能。

内装に使ったヌメ革の雰囲気同様、NELD財布のラインナップの中では比較的クラシカルな内装になっているのが「PUEBRO」。他ブランドからの乗り換え時もスムーズに慣れれるファスナー開閉の小銭入れを備えています。ファスナー開口部にマチを設けることで見た目以上に広く開き、コインを取り出しやすく工夫されています。画像では確認しにくいですが、小銭入れ内部にはブラックウォッチ(グリーン基調のタータンチェック)生地を合わせて、トラッドな雰囲気も持たせています。

2020年時点でNELD長財布の進化の到達点である「MINERO」。広く開く小銭入れは「FINE」ゆずりですが、こちらは小銭部のフラップ(蓋)部分にもカードポケットを付けて最大限にスペースを有効化。内装生地にはヘリンボーンコットンを使っていますが、「FINE」同様明るい色をセレクトすることで視認性を高めています。そして「FINE」との最大の違いは、小銭入れの取り付け位置が左右逆ということ。これは完全に好みで、慣れもあると思いますが、決め手の1つです。

「MINERO」で進化しきってしまった小銭入れ。……と思いきや、全く違った発想で作られた新境地がこちらの「LATTE」。なんと、小銭入れを外して独立した簡易財布になります。小銭入れ内にはマチ付きのポケットが取り付けられていますが、こちらが真価を発揮するのは、外したとき。このマチ付きポケットに小銭を入れて、普段コインを入れているところにお札を入れると、コイン・カード・お札と財布のすべての要素をこれ1つでまかなうことが出来るのです。名付けて「MOVING WALLET」。昼休みの食事の時、はたまた仲の良い友達と飲みに行くとき。最低限だけ持って気軽に出かける新しいスタイルを提唱しています。
お札入れ
次はお札入れについて見ていきましょう。長財布は大体の場合、お札が入るサイズの名所が複数あり、好みや用途に合わせて使い分けることが出来ます。

「FINE」は2か所にお札を収納可能です。ファスナーポケットの右横のマチ付きの部分か、そこのカード段の奥のポケットです。奥のポケットはサイズは十分ですが、お札を出すときに少しだけメインファスナーに引っかからないよう注意が必要です。ファスナーポケットの左側にもお札が入りそうなマチありのスペースがありますが、1万円を入れると少しきついのでオススメは出来ません。

「PUEBRO」のお札収納は、「FINE」と同じ2か所に加え、全開になる右側のカード段の下にもお札を入れることが出来ます。どちらかと言えばサブ的なポケットになりますが、使って良いお金とそうでないものを明確に区別するためにうまく使うのもアリです。

「MINERO」はマチ付きのカード段が取り付けられたスペース2か所+「PUEBRO」と同じように全開になるカード段下の計3か所にお札を収納することが出来ます。マチ付きの2か所はそれぞれ、お札の上部がはみ出ること無くすっぽりと収納できます。

今回紹介する4種の中で、一番お札収納のバリエーションが豊かなのが「LATTE」。着脱可能な小銭入れにもお札をジャストで収納可能なので、好みに合わせてフレキシブルにお札を入れることが出来ます。一番右側のカード段奥のポケットも「FINE」と比べて10mm幅が長くなるので、メインファスナーの干渉もほぼありません。
カードポケット
長財布は、折り財布やミニ財布と比べると、基本的にカードポケットが多いです。特にNELDの長財布はカード収納が充実しています。そして実は各モデルで縦入れと横入れののカードポケットの両方を採用していることも特徴です。縦入れはカード段の間隔を15mm以上開けることが出来るので、親指でスライドさせやすいというメリットがあります。その反面、厚めのカードを入れるとカードが重なったときに財布が型崩れしやすいというデメリットも……。ですので、縦入れと横入れ、カードの厚さなども考えて定位置を決めることで、より美しく使っていただけます。
財布を選ぶ際、ポケット数は多いに越したことは無いですが、カード保有数が少ない人が、あんまり不要なポケットを余らせるのもスマートではないですし、1つのポケットに複数枚入れることも出来るので、そこら辺も加味して、自分にとっての使いやすさを追求していただけると嬉しいです。

他のモデルと比べると内装がシンプルな「FINE」。とはいえ、13コのカードポケットで、もの足りないということは無いと思います。良く使うカードを独立して取り付けられている1つポケットに入れて区別することも出来ます。

一般的なラウンドファスナー長財布の形状に最も近い「PUEBRO」ですが、左側のカード段に笹マチが付けられておらず、全開になるので縦に取り付けられたカード段が一望できます。「FINE」を引き継いで良く使うカードを独立したポケットに入れることが出来るところもポイント。

あらゆるスペースを無駄なく完璧に使っている印象の「MINERO」。カードポケットも24コととっても充実です。とにかく大量のカードを入れたい人にはかなり嬉しい仕様です。全開になる左側でカードを一望できる「PUEBURO」の仕様も受け継いでいます。

そして2020年現在NELDの長財布で最多のカードポケット数を誇るのが「LATTE」。なんとカードポケットが25コです。小銭入れの着脱機能というギミックを搭載しながらのカードポケット数は圧巻。作り的にはお札も入れるマチ付きの収納の反対側にもカード段を取り付けることが出来ますが、お札の出し入れにも影響してくるので、使いやすさも考慮するとこれがマックスかと思われます。
その他ディテール

今回ご紹介の4モデル、全てに共通する機能として、外装ポケットがあります。目立たない部分ではありますが、このポケット、実際はかなりお役立ちです。レジで財布を閉じた直後にポイントカードやレシートをもらったときも、ここにとりあえず入れることでスムーズに笑顔で気持ちよくレジを後にできます。他にも駐車券や映画の半券など、一時的に何かを入れるにはとても便利なポケットです。「MINERO」では、このポケットで革も切り替わるのでデザイン的にも大きいポイントになっています。
ステッチも似たルックスになりがちなラウンド長財布の個性を決める要素です。「LATTE」以外はWのステッチになっていますが、その中でも「FINE」は内側のみ太番手にすることで独自の表情を付けています。「PUEBRO」は内装にヌメ革を使用していることと合わせて、外装ステッチも本体革に準じずナチュラルカラーをセレクト。同系色と比べてステッチが目立つので、細めの糸を使っているところもこだわりです。尚、蛇足ではありますが、この外装のステッチの内側は「飾りステッチ」と呼ばれるもので、デザインとしての役目が主となり、財布自体の強度にはほぼ関係しておらず、シングルステッチの「LATTE」も強度的に劣ることはありません。
そして、意外に見た目の印象を左右するのがファスナーのムシとテープのカラーです。完全に好みにはなりますが、「FINE」「LATTE」はシックでシャープなイメージのシルバー、「PUEBRO」「MINERO」はゴージャスで落ち着いた印象を与えるゴールドのファスナーとなり、組み合わせているテープとのコンビネーションによっても雰囲気が変わります。使い勝手で決めかねているときは最終的にこのステッチやファスナーなどのディテールでジャッジしていただければと思います。
長いページでしたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。
ここ近年は、バッグの小型化と、電子マネーなどによる、お金を取り巻く環境の変化でミニ財布の需要が高まっていますが、お札を曲げたくない、カード収納量の多さなど、長財布へのこだわりを持つお客様は依然多いです。
特に今回ご紹介したラウンドファスナー長財布はそのルックスの良さと、中身が落ちない安心感、使うときにファスナーを開ける生理に訴えかける心地良さなど、とても魅力的です。
そんな長財布ファンの方をきっと満足させるNELDの長財布。専業ブランドならではのこだわりが詰まっています。
財布は毎日使うものだけに、こだわりが出るところです。このページであなたにピッタリの長財布が見つかったら嬉しいです!
最後にこちらもちょっとだけご紹介。希少なエキゾチックレザーを使ったNELDのスペシャルな長財布。内装は「NIMERO」と同じ仕様になっています。使い勝手の違いは外装のポケットが省略されているところだけですかね。こちらも是非ご覧ください。